あの人の本棚vol.2 山本郁也事務所 山本郁也さん

本からの学びによって、自らをアップデートし続けている人におすすめの書籍を教えてもらう「あの人の本棚」。第一回目のFICC代表取締役 荻野英希さんの本棚に続き、今回は山本郁也事務所の山本郁也さんの本棚から、オススメの本を紹介してもらいました。

山本郁也さんについて

楽天株式会社や株式会社ビジネス・アーキテクツ、株式会社ネコメシ、BEENOS、リクルートライフスタイルなどで、戦略ディレクターやUXデザイナーとして数多くのプロジェクトに関わった方です。
以前はDesign Dotや、UX Tokyoなど、UXデザイン関係のイベントを多く主催しており、今年だとWorld IA Dayのモデレーターや、HEAD研究会フロンティアTFの副委員長など、幅広い領域で活動をされています。
また、プライベートプロジェクトとしてTobinというハンカチのブランドも展開されています。

実はこの人、私が本を読むようになったきっかけでもあります。
以前から知り合いではあったのですが、たまたま参加したDesign Dotで改めて山本さんとお話しさせていただき、もうそこでの会話が全然ついていけなくて、もっと勉強しないとまずいってなったのが、本を読み始めたきっかけだったりします。
その後もお住まいにお邪魔させてもらってお話しを伺ったり、いろいろとお世話になっている人です。
本記事のカバー画像は実際の山本さんの家の本棚なのですが、推定2000冊以上(正確な数は不明)の大量の本があり、それももうすぐ入らなくなるような状態でした。

もうあまりに多すぎて本棚から本を探すのが困難だった程ですが、今回は本棚から発掘できた中でオススメの書籍を紹介させていただきます。
ただし、紹介してはいるものの、実際に買おうとしても何冊かは絶版になっていたり、プレミア価格がついている本もある(それだけいい本を紹介して頂きました)ので、探す際には古本屋などを巡ってみるのもいいかもしれません。

寺田寅彦

戦前の物理学者である、寺田寅彦の書籍をご紹介頂きました。
物理学というと理系のイメージが強いのですが、寺田寅彦は文学など自然科学以外にも造詣が深く、随筆家や俳人としても活動しており、科学と文学を調和させた本も残しています。
俳句と地球物理は松岡正剛さんの千夜千冊でも紹介されていました。
また、寺田寅彦の助手には後に人工雪を開発した中谷宇吉郎などがおり、寺田寅彦の後には中谷宇吉郎の本を読んでみることもオススメらしいです。

寺田寅彦随筆集 セット (岩波文庫)
寺田 寅彦
岩波書店
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柿の種 (岩波文庫)
柿の種 (岩波文庫)
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寺田 寅彦
岩波書店
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俳句と地球物理 (ランティエ叢書)
寺田 寅彦
角川春樹事務所
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中谷宇吉郎 雪を作る話 (STANDARD BOOKS)
中谷 宇吉郎
平凡社
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悪魔と裏切り者

18世紀のフランスの哲学者で、社会契約論などで知られるルソーと、同時代のヒュームの間で交わされた往復書簡を元に書かれた一冊です。
祖国を終われたルソーを保護したヒュームですが、ルソーの激しい思い込みから、二人の仲が破綻するまでが書かれています。
書籍の帯にも哲学的痴話喧嘩と書かれており、哲学を別々の角度から突き詰めたルソーとヒュームだからこその衝突を楽しむことができます。
ルソーについては時代は前後しますが、パリに戻った後の孤独な散歩者の夢想を読んでからのほうが楽しめるかもしれません。

悪魔と裏切者: ルソーとヒューム (ちくま学芸文庫)
山崎 正一 串田 孫一
筑摩書房
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孤独な散歩者の夢想 (光文社古典新訳文庫)
光文社 (2014-11-28)
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ジャック・デリダ

脱構築で知られるジャック・デリダの本で、論文すら脱構築したと言えるのがこの絵葉書かもしれません。
そのため、いつ読んでもわけわからないけど、いつ読んでも新しい発見がある本とのことです。
ただしあまりにも難解であるため、デリダについてまとめた東浩紀さんの存在論的、郵便的を読むのがオススメとのことです。
存在論的、郵便的は2年前に山本さんにオススメされた買っただけで未だに読めていないので、私もそろそろ読みたいところです。

絵葉書 I -ソクラテスからフロイトへ、そしてその彼方 (叢書言語の政治 14)
ジャック デリダ
水声社
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存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて
東 浩紀
新潮社
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オデッセウスの鎖

経済学者ロバート・フランクによって書かれた本で、感情に基づく行動規範であるコミットメント・モデルについて扱っている本です。
IAにオススメの本とのことですが、恥ずかしながらまだ読めておらず。
しかも絶版でネット上ではどこを探しても見つからないので、古本屋巡りをして探したいと思います。

オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情
R.H.フランク 大坪 庸介
サイエンス社
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文体練習

フランスの小説家レーモン・クノーの本で、何気ない短い文章を99通りの異なる文体で書いている本です。
予言風に書いたり、古典的に書いたり、農民風に書いたり、奇抜なものだと女子高生風に書いたりなど、誰の視点で書くかが変わるだけで、ここまで変わるのかって思える一冊で、IAやデザイナーとしても学びになる一冊です。
原文はフランス語ですが、30以上の言語でも翻訳されて出版されており、微妙なニュアンスの違いなど、他の言語で読んでみても面白いかもしれません。

文体練習
文体練習
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レーモン クノー
朝日出版社
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小学生の俳句歳時記

これまでご紹介してきた内容と一気に変わって可愛い本なのですが、小学生の俳句を集めた歳時記をご紹介頂きました。
小学生が書いた俳句を集めただけなのですが、無邪気で純粋な一句から、とても小学生とは思えない俳句まで、感動する内容が詰まっています。
ちなみにだいぶ昔に絶版になっているものの、未だに人気の高い一冊で、教えてもらってから購入しようとしましたがどこにも見つからず、偶然メルカリで見つけて購入できました。
一句単位で読めるので、寝る前などに少しだけ開いて読むのが最近の日課になっています。

小学生の俳句歳時記―ハイク・ワンダーランド
蝸牛新社
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いかがでしたでしょうか。
第一回のあの人の本棚とは打って変わって、実務から離れた本ばかりの紹介となりました。
正直、読んでもすぐに役立つ内容は少ないと思いますし、山本さんもそう仰っていました。
中には難読な本もあり、そもそも理解できる時が来るのかはわからないですが、だからこそ何年後に読んでも楽しめる本だと思いますし、それも読書の楽しみ方のひとつではないでしょうか。

またいつか、山本さんの家の本棚が溢れた頃に行って、オススメの本を聞いてみたいものです。

tomohiro.suzuki

株式会社スタンダード UXデザイナー。最近よく読む書籍の分野は戦略、統計学、組織論など。好きな漫画は3月のライオンとワールドトリガー。趣味は塩分摂取とアルコール。