「ミッションからはじめよう!」に学ぶ、ミッション作りに必要なフレームワークと事例

ミッションからはじめよう!」は、株式会社フィールドマネージメント代表を務める並木裕太さんが書かれている本で、ミッションを決めることの重要性を、ある航空会社の経営企画室を舞台にストーリー形式で解説されています。今回はその中から、ミッション策定の際に活用できるフレームワークと、実際の事例についてまとめてみました。

ミッションからはじめよう!
並木 裕太
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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どんなことが学べる本?

特徴的な見出しをいくつか目次からピックアップします。

  • ミッション編
    • 想いをめぐらせ、材料を集める
    • 想いを整理し、とりあえずの形にする
    • ミッションを確定する
  • ロジック編
    • 整理するためのロジックと伝えるためのロジック
  • リアライズ編
    • メンバーを選ぶ
    • キーパーソンを巻き込む
    • 継続のための仕組みと人を育てる

この記事では「ミッション編」について紹介していきます。


学びになったポイント

ミッションとは

  • 自分たち(会社や事業、チーム、プロジェクト)の目指す姿や提供する価値を定義したもの
  • ミッションは「エビデンス(証拠)」によって支えられた「ファンクショナル(機能的)なベネフィット」と、その機能によってもたらされる「エモーショナル(感情的)なベネフィット」に基づいた上で、目指す姿を定義したもの
  • エビデンスがないミッションはただの想いや願望、夢であってミッションではない

なぜ必要か?

プロジェクトでは、常に何らかの問題を解決することが求められるが、「問題」とはそもそも目指す姿や目的があって初めて決まるもの。目指す姿を決めないで問題ばかり出しても、解く必要のない問題を出すことになってしまうため、初めにミッションを決めることが重要。

ミッションをつくる3つのステップ

1.想いをめぐらせ、材料をあつめる

  • 自分に対して問いかけることで、ミッションを作るための材料をあつめる
  • 問いかけの例として「タイムマシン」「エレベーター」「ロールスイッチ」という3つの問いかけ方をおすすめしている
    • タイムマシン:過去と未来から見る
      • そもそもどんな気持ちで始めたのか?その時の自分が今の自分をみたらどう思うか?
      • 五年後どういう状態になっていたいか?未来の自分はどんなアドバイスをするだろうか?
    • エレベーター:視座を変えて見る
      • このプロジェクトは会社全体/業界全体から見るとどんな意味があるのか?
      • 上司/部下からみたらどんな意味があるのか?
    • ロールスイッチ:立場を替えて見る
      • 自分が顧客だったらその商品やサービスを欲しいと思うか?どんな価値があったら欲しいと思うか?
      • 自分が競合の社員だったらこの事業をどう見るか?
      • 自分が社長だったらこの事業に投資したいと思うか?

2.想いを整理し、とりあえずの形にする

「ミッションコーン」というフレームワークを用いて、想いを整理していきます。

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ミッションコーンの構成要素
  • エビデンス:「想い」を支える事実や根拠。過去の実績や実体験などの事実
  • ベネフィット:エビデンスに支えられて提供できる価値
  • ミッション:エビデンスとベネフィットをもとに文章化したもの

ミッションコーンの3つのステップ

  • エビデンスを洗い出す:ミッションを実現するために求められる、自分や自分の部署、会社の実績や強み、今後持っていかなければならない強みは何か考える。現在持っている実績や能力などの強みと、ミッション達成のために今後必要になる事柄に分けて書く
  • ベネフィットを決める:誰にとってのベネフィットかを意識しながら、機能的(ファンクショナル)なベネフィットと、それによって得られるエモーショナル(感情的)なベネフィットを考えていく。
    • 高級時計の例
      • 機能的ベネフィット:時間がわかること
      • 感情的ベネフィット:ちょっとした優越感
  • ミッションとして表現する:「エビデンスによって支えられたベネフィットを提供できている状態」を一言で表すとどうなるかを考えて言語化したもの。なるべくキャッチーで伝わりやすい表現、言葉にする。

3.ミッションを確定する

良いミッションになっているかどうかを5つの問いでチェックし、洗練させていきます。

  • エビデンスに支えられたリアリティがあるか?
  • 社会に対して付加価値があるか?
  • 誰に対してのベネフィットかが明確か?
  • オンリーワンの内容になっているか?
  • わかりやすく、エッジの効いたワーディングになっているか?
エビデンスに支えられたリアリティがあるか?
  • エビデンスがないミッションはただの夢物語
  • 過去の実績だけでなく、「これからこうしたい」という戦略的な方針でも有効
  • その分野に関係がなくても、これまで培ってきたスキルや経験が活かせるのであれば転用できる
社会に対して付加価値があるか?
  • 社会に対してどんな付加価値をもたらすかが示されている
  • 「売上を上げる」「自分の想いを実現する」ではない
  • 人が共感できる、価値があると感じられるものであることが重要
誰に対してのベネフィットかが明確か?
  • ベネフィットを受けるのは自分や自分の会社だけではなく、対象となる相手に対するベネフィットになっていることが大切
オンリーワンの内容になっているか?
  • どこの会社のミッションにもあてはまってしまうような抽象的すぎるものは適していない
  • まあ、そうだよねで終わってしまう
  • 競合とくらべて自分たちだけの強みは何か?特徴は何か?
わかりやすく、エッジの効いたワーディングになっているか?
  • 簡潔で解釈がいらない表現になっているか?
  • 抽象的すぎないか?
  • エッジが効いているか?
    • キーワードを抽出し、他にはない形容詞と組み合わせてみたり、矛盾する言葉を同意に入れ込むという小技もある

ミッションコーンの事例

ミッションコーンを実在する企業にあてはめて解説されていました。ここでは1つだけ紹介転載させていただきます。

「スターバックス コーヒー」の場合

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  • ミッション:都会的なトレンドに敏感なお客様に第3の場所を提供する
  • 機能的ベネフィット:家庭でも職場でも学校でもない第3の場所としてゆっくり自分らしく過ごすことができる
  • 感情的ベネフィット:かけがえのない1日を豊かにする
  • エビデンス
    • 良質で多品種のコーヒーの提供、バリスタ
    • 徹底した雰囲気の演出(BGMやソファ)
    • ストーリー性のあるシンボル
    • 徹底した従業員の訓練

「本棚とノート」の場合

実はこのサービスの起案時に、ミッションコーンを用いたミッション策定を行いましたので合わせてご紹介します。

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  • ミッション:事業に関わるデザイナーが学べる機会をふやすことで、世の中を豊かにできる人をふやす
  • 機能的ベネフィット:新しいことが知るきっかけを得られる。学びを得ることで実践することに繋げられる
  • 感情的ベネフィット:実践を続けることで自分に自信がもてる
  • エビデンス
    • 日頃から本を多く読んでいる
    • 内省して考えを深めることが好き
    • 領域を超えて学ぶことができている
    • 既に100冊を超えてインプットしている
    • アウトプットすることで自己理解もできる(今後必要)

これだけでなく、作ったミッションを人に伝えていく論理、その実現に至るまでの普及過程にも言及されていますので、また別の機会にまとめようと思います。

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ミッションを考える上ではこちらもおすすめです。

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Kenichi Suzuki

「本棚とノート」発起人&株式会社スタンダード代表取締役。最近よく読む書籍の分野は戦略論や製品開発、ダイエット手法、会計など。好きな漫画はちはやふるとキングダム。なかなか痩せない元ケーキ職人。