2014.12.15 / Report

UI Crunch #2 UIデザイナー不要説について語る 参加レポート

Ryo Yoshitake

11月27日にDeNAさん x Goodpatchさんの主催で行われたUI Crunchに参加してきました。開催から少し遅れての公開となってしまいましたが、当日の様子をお届けします。
申し込み開始から30分ほどで70人の定員がすぐに埋まってしまうほどの人気イベントですが、今回はどのようなお題が取り上げられ、どのようなディスカッションがされたのでしょうか。
なお、当日の様子はSchooでも配信されており、録画されたものを観ることができます。

【現役クリエイターから学ぶUIデザイン講座】UI Crunch #2 渋谷ヒカリエから生放送!

今回のお題の経緯

2回目のテーマは『UIデザイナー不要説について語る』。少し前に同名のブログ記事が投稿され、各所からさまざまなリアクションが挙がりました。今回のUI Crunchでは記事を書かれたご本人とリアクションをされた方を中心にお呼びし、どのような考えを持っているのか、UIデザイナーは本当に不要なのか?について語られました。

UIデザイナー最終防衛マニュアル

Taiki Kawakami(Λ Structure Design/Designer)

トップバッターはやはりこの方、『UIデザイナー不要説』を書かれたKawakamiさん。

  • 短期的な解決方法(革命・転職・独立・趣味)
  • 長期的な解決方法(UIデザインの重要性を啓蒙)

を軸に、UIデザイナー不要説なんて出てこない、UIデザインが大切なのは当たり前な世界にしていきましょう、というお話をされました。
印象的だったのは「エンジニアは世にどんどんコードを公開している。デザイナーもデザインコード(デザインに込めた意図)を公開していこう」の一言。
去年の夏に、デザイナー向けポートフォリオサイトDribbble内における成果物の危険性について書かれた記事『The Dribbblisation of Design』(邦訳版)を思い出しました。ただ綺麗な表面を作るだけではあなたはデザイナーではなくアーティストである。デザイナーであればそのデザインが持っているミッションやビジョン、情報設計の部分こそを大事にしよう、というお話なのですが、今回の話にも通ずるものがあると感じました。
なかなか受託開発の現場では難しい場合もありますが(実績としては出せるけど担当したデザイナーやエンジニアの名前が載せられない、なんてパターンもありますね)、意図、そして想いをより多くの人に届けるにはとても重要だと思います。

UIデザイナー不要説
UIデザイナー不要説へのリアクション

風呂場で考えるUIデザイナーの未来

上谷 真之(nanapi CCO/Designer)

続いてはnanapiのCCOである上谷さんより、既存の考えを衣服に例え、それを抜いでキャリアについて俯瞰して考えてみましょうというお話。
そもそもUIデザイナーが何をするかというのは人や組織によって認識が異なり、全員が同じことを考えているわけではないため、当然自分と相手の認識にズレが発生することになります。これを再度考えなおすためには

  • こわす(肩書や組織を外してみる)
  • ならべる(自分自信のキャリア、やりたいことについて見直してみる)
  • もどす(それを組織や会社に当てはめてみる)

の3つを通して思考整理をしてみませんか、という問いかけでした。
最後の「誰かが決めた“UIデザイナー”という肩書はもういらないんじゃないか」には膝を打ってしまいました。
スライドで上谷さんは自身の肩書を極論として「おにぎりデザイナー」という言葉を使っていましたが、ある意味これくらい意味がわからないほうが会話のきっかけとして自分の業務に説明することになり、間違った認識のまま進むのを防ぐ第一歩になるのではないかと感じました。

UIデザインの価値

吉田 健吾(トレタ COO)

トレタCOOの吉田さんからは、主にB2BアプリにおけるUIデザインの重要性についてお話を頂きました。
まず吉田さんの前提として「UIデザインにはもちろん価値がある」。ユーザーが触れるところはすなわちUIであり、そこがよくなければ優秀なビジネスモデルや高い技術力も評価はされない。UIは競争力の源泉である、とのこと。
とは言えUIデザインよりも他の要素が優先されることもよくあり、そのうちの「デザインの良し悪しで利用可否が決まらない(例:会社指定である)」がB2Bにはありがちなんだそうです。
B2Bでは、操作ミスなどのコストを下げることがUIの価値となるということなので、ある意味ストレートにクライアントに提案ができるのではと感じました。
またWebやアプリというフィルターを除けば、それこそUIデザインの価値を証明できる場は無限に広がっていると思います。今後は「普段何気なく使っている中で無意識化では不便を感じているが、慣れてしまって気がついていない」領域にも進出する余地があるように感じます。

UIデザインの価値

経験に基づく「UIデザイナー」の必要性

藤川真一(えふしん)(BASE CTO/取締役)

BASEのCTOのえふしんさんからは、2000年にネット業界に転職してから現在までの経験からUIデザイナーに対してお話を頂きました。
10年前にはUIデザイナーという言葉がそもそも存在せず、ディレクターやWebデザイナーとして語られましたが、営業部門で仕様が決まるということがあっため、案の定制作部門では不満が上がったとのことです。
現在ではUIデザイナーには情報設計やユーザビリティ、ビジュアルデザインまで多くのことが求められますが、決してスーパーマンではないし、そんな人材がなかなか居るわけではありません。
必要性という意味では、現実的にはスキルセットを完全に持った人はいないということを組織内で受け止め、その中でどのようにプロダクトを作っていくか…そのためにはデザイナー自身も分からないことは素直に分からないと伝え、エンジニアや他の人と協力することで補うといったお話であったと思います。
実際にBASEのデザイナー採用としてはUIに対する専門性よりも、まずはビジュアルデザインをポートフォリオなどで判断し、その後ロジカルな思考ができるかなどを面接するという採用を行っているそうです。

UIデザイナー募集で困ってること

パネルディスカッション

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後半では登壇者に加え、ファシリテーターとしてGoodpatchの土屋さんと、DeNAの坪田さんが入り、パネルディスカッションと当日の質問に対しての回答が行われました。
非常に多くのトピックについて語られたため、本記事では「デザイナーの給料を上げるためにはどうすればいいか」について語られた内容について紹介したいと思います。

問題提起:Webデザイナーの給料はなぜ少ないのか

Goodpatchの土屋さんより、デザイナーの給料が少ないのではないかというお題が出されました。デザインというものは定量的な評価が難しい、例えば「デザインがかっこ良くなります」というだけではビジネス的にどれだけ売上に貢献できるか判断しづらいため、給料が上がらないことに繋がっているのではとおっしゃっていました。
同じようにSchooでの質問でも「デザイナーの給料を上げるためにはどうすればいいですか?」という質問もあり、多くの人が感じている部分なのかもしれません。

回答1:マネージャーになる

これはデザイナーに限らず、エンジニアにも共通することですが、単純にマネージャーや意思決定者の側に近い立場に上がることで給料も上がります。しかし、プロダクトを良くすることに繋がるということで考えられるのであれば別ですが、そもそも自分で作ることを望んでいる人であれば、この方法は適しているとは言えません。

回答2:Goodpatchが単価を公開する

業界の標準としてまだまだ共通の相場というものがないのであれば、例えばGoodpatchのような業界を牽引している会社がこれくらいのクオリティを求めるのであれば、これくらいの価格というものを公開することで標準が作られるのかもしれません。実際にGoodpatchではデザイナーの評価制度の作成にも取り組んでおり、単価もこの1年で倍になっているとのことです。

回答:納品物だけではなくプロセスを売る

受託のデザイナーの場合ですが、海外のデザイナーの例としては単純なグラフィックだけではなく、コンサルとしての料金が日本よりも高く設定されています。そのアウトプットに至るまでの過程と価値をプレゼンテーションすることができれば単価を上げることができます。

回答3:ポートフォリオサイトなどに制作物をアップする

より給料の高い会社への転職に繋がるという意味ですが、海外であればBehance、日本ではJAYPEGなどのポートフォリオを投稿できるサービスがあります。ここに自分で制作物を投稿することで、より評価が高い会社からのオファーが来たり、もし会社に所属しないにしてもフリーランスとして単価を上げることが可能になります。


今回のお題はまとめるのが難しく、また意見としても一様になってしまうのではと思っていたのですが、皆さんの発表がいい感じにばらけており、予想していたよりも話にバリエーションが出たように感じました。ただ単に「UIデザイン大事だよね」だけで終わらず、その場にいた人、Schooで見ていた人それぞれが色んな想いを抱けたのではないかと思います。
3回目の開催は1月下旬頃を予定しており、テーマは『プロトタイピング』を扱うとのこと。こちらもどんな話題展開があるか、今から楽しみですね。

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