読書による学び方を学ぶ。

本による学習方法を少し変えてみた

今回は箇条書きメモやら書評ではなくて、少し趣向を変えて、私の学習方法のプロセスの開示に焦点を当てたいと思います。
去年は本の数も200冊近く読んで、自然と本をよむ習慣づくりもできました。
実際新しい領域にもかなりチャレンジして経験を積めたこともあり、その中で読書は精度の高い思考をするにあたって必要な知識を補うにかなり役立ちました。

しかし、形式的に読んでしまい血肉化できなかったものもあるために、今年は読書の数も押さえて一層読書から実践へのつなぎのための思考の時間を取るスタイルを試してみようと思います。

学び方でいうとInput→Throughput→Outputという考え方を大事にしています。スループット、というのは聞き慣れないかもしれないですが、インプット→アウトプットとすぐに結果に結びつくわけではなくて、この間にある思考して内在化するプロセスが大事だと考えています。
この場合だと本をよむのがインプット、それを振返りながら思考するのがスループット、ブログ化して思考をきちんと形にするのが第一アウトプット、実践で取り組んだ結果が第二アウトプットみたいなイメージを描いています。

learning_process2

ただ、実際はこの学習プロセスは直線というよりもサイクルになっていて、経験学習サイクルを回すように意識しています。
インプットを元に自分の中で深めるスループットを経て、ブログでアウトプットしながら、実践で行動した結果のフィードバックを再びインプットする。
そのフィードバックから内省して、何が学べたのか?を問うことでスループットを経て、次のアウトプットにつなげていく、というサイクルです。

learning_cycle

そのために下記のようなテスト的に読書後の内省フレームを用意してみました。

  • この本の概要をまとめると?
  • この本から得た学びは何か?その学びをどう活かせそうか?
  • 何に1番驚いたか?
  • この本から得た深めるべき問いはなにか?

ちなみに外の人に見せる前提のものでなく、あくまで自分の中での気付きを深めるプロセスを転載しただけなために、下記を読んでも皆さんには参考になる部分はかなり少ないと思うので、あくまでこの記事は学習の仕方に関する取り組みの試行錯誤を展開しているものだと思ってください。
そもそも本はだれが読んでも感じるものは異なるし、読むタイミングによって得られるものも違う性質があるので、本当に私がいま現時点でもやもや考えて感じたことを書いています。笑
あと、下記では箇条書きですが、実際には適当な裏紙などに思ったことを書きなぐりながら進めると、個人的にはより深められる気がしてます。学び方を学ぶヒントに少しでもなれば幸いです。

「機会発見」を読んで

機会発見 ― 生活者起点で市場をつくる
英治出版 (2016-09-21)
売り上げランキング: 1,236

この本の概要をまとめると?

  • 問題意識から視点を洗い出し、それを元に定性的な調査により生活者に対する共感を得て、情報を統合していくことで、固定概念の枠組みから外れた”機会”をフレーミングして今までにないサービスを生み出すための考え方とプロセスを描いた本
  • 非常にプロセスの1つ1つが分かりやすくて丁寧に描かれており、特に初期視点の洞察の際の分析手法と、調査から得た情報から推論までの具体的イメージが得られた

この本から得た学びは何か?その学びをどう活かせそうか?

  • 「情報収集し、学習するのではなく、〜一度ラーンしてしまった固定概念をアンラーンしていくこと」が大事
    • ここから何を学んだか?と問うことが習慣になっているので、その学びすらも崩す勇気も必要だと感じる。無知の知にも通じるもので、常に自分が無知だという自覚をもって変容することに開けている必要があるなと。「何を学んだか?」と、問うことが習慣化しているけれどそれ自体も危険さをはらんでいることを知れたのがでかい。
  • 課題意識から仮説をたてる前に、周辺情報から「視点を導出する」というのはあまり今までやったことがなかったこと
    • キーワードのブレストをした上でのデスクリサーチ・対象のサービスが時代とともにどういう新しいコンセプトを生んできたのかという推移から構成要素や次の波を予測する時代分析・ファイブフォースを応用した市場の環境分析・As-Isジャーニーでの現状課題の分析などがそれにあたる。この辺はすぐにでも取り入れられそう
    • 要点としては、仮説構築の前に視野を広げることが重要でそれらから気になったものをより深掘りしていくための視点として洗い出していく。その視点をベースに顧客仮説を立てていくことで、広く模索できる
  • エスノグラフィ調査の方法が詳細に書かれているが、その共有を1件30分-1時間でとても丁寧にやっているのはびっくり。
    • 対象の人柄や属性情報から、生活環境や調査で得たテーマに関する情報を共有したあとにQAやディスカッションを踏まえて気付きを全員で導出する
    • インタビューを書き起こして構造化したものと文章化したものを共有などはしていたが、メンバーと議論しながら深めるなどはしていなかった。
    • とはいえ、定性調査の共有方法には課題感は感じていたために、納得。ただどれだけ時間をかけるかと共有方法はフェーズと調査目的にもよりそう。この場合は新規立ち上げの際のコンセプトメイクの文脈上なので、丁寧に行ってもいいかもしれないが、既存サービスの改善のイテレーション内ではもう少しラフになるかもしれない
  • デプスインタビューでの時間配分でラポールの構築に思った以上に割いていたのも参考になった。時間を気にしすぎず「立体的に」顧客情報を理解するためにはムダな情報はないので、ほぼ関係ないことでも生活に関してなら雑談的な問いをもっとラフに投げかけてみようと思う
  • リクルーティング方法のプロコンがまとめられていたのも参考になった。人脈を介して調査対象者を探す機縁法は特定コミュニティにリーチしやすいが、サービスの利用方法や頻度などでセグメントしている場合はスクリーニング法がよい。
    • 顧客仮説の性質に合わせてこの辺りを意識する必要がある。
    • 実際にリクルーティングはかなり困難になりがちなので、この際にざっくりとしたチャネル仮説を構築しておく必要はありそう。
  • 調査で得た事実からインサイト=発見/気付きを導くためのフレーミングのイメージがかなり具体的になったし、濱口さんのバイアス破壊メソッドとの類似点を大きく見いだせた
    • KJ法を普段から行っているものの、「軸を生み出す」という観点は薄かったと思う。要素同士の関係性は描いていたものの、「既存のバイアス⇔新しい機会」という対立軸で構造化をしたことはなかったなあと。
    • 濱口さんのバイアスを構造化する、というメソッドも知ってはいたが、それがデザインシンキング的な文脈で今までやってきた自分が持っているプロセスに組み込まれた感じ。
    • 問い→情報収集→視点の導出→定性調査→KJ法による発想→構造化(=フレームの作成)、という全体の流れがより太い線になった
  • 定性調査からKJの流れにおいては、1件1件の事実から推論して発想を導き出す。それら全ての発想をグループ化して対立軸をつくり、構造化にもっていく
    • 1つの調査あたりに発見が10-15ほどあればよいらしい
    • 構造化に関して一番メジャーなのが2軸でのマトリクス。まだ既存のサービスが何もない新規性の高い領域にマッピングできるまで何度もマトリクスの軸自体を作り直す
    • 発想をグループ化して抽象度を高めたものから導き出した概念を軸の仮説として組み合わせてみる。仮説的なマトリクスができたら、妥当性を確かめる
  • このような流れで得たアイデアを最後に「コミュニケーション」してステークホルダー間に伝達する
    • これは新規市場の作り方にもあった、「問題意識自体をつくりだす」ことに近いかもしれない

何に1番驚いたか?

  • イノベーションの生み出し方として有名だった濱口さんのバイアス破壊メソッドとの共通点を見いだせたことと、それが自分の中でより一層落とし込めたこと。
  • やはり、バイアスを可視化する、ということとそれを構造化することで既存の枠組みの外からアプローチをかけられる、という2点が重要なのだろう
  • これらのプロセスを現状のSTANDARDのデザインプロセスと自分の経験と照らし合わせてみると、自身の明確な弱点が浮かび上がってきて、「仮説の立案」からの経験が浅いがあげられる。そもそも枠組み考えずにブレスト的にアイデアを出して仮説に分解する、という流れはあるものの、それ以前の実践経験量がもっと必要

この本から得た深めるべき問いはなにか?

  • どう初期視点の導出の精度を高めていくか?
    • これは一度やってみて、自身で経験してまず学んで見る。おそらく分析にも領域や課題意識毎に適したものがあるので、そこらへんもやってみて学ぶ
  • 調査を進めていく際にどの「初期視点+対象者」に基づくかをどう意思決定するか、つまり初期視点をどう評価するか?
    • その場では、未知で新しさを感じるか?わくわくするか?議論を生むか?の3点によって評価していく?
    • 本書で述べられているリーン型を採用して各プロセスのリードタイムを短くして回していくのが1つある
  • 仮説を生み出すまでのプロセスに重きをおいているアプローチだが、既に仮説がある状態のものから前に進めていく場合にどう応用を効かせられそうか?
    • このアプローチ自体、破壊的イノベーションの創出に属するアプローチ。何を求められているかによるので、持続的イノベーションの場合は、既存のアプローチのまんまでも良いとは思う
    • だが、前者を求めているが既にセンスの悪そうな仮説があった場合にどうするかは提案次第?

読書後の内省スループット自体の内省

  • 時間をかけすぎてしまった。30分以内というルールを設けたが、かなり思考して吸収すべきことのボリュームが多い場合はしっかり時間をかけた方がよさそう。
    • どのくらい時間をかけるかの目安を事前に設定するのは必要
    • どのくらい時間をかけるか自体は内容によって変えてみる
  • スループット用のフレームで思考を深めてそれがそのままアウトプットとして外にも出せる文章につながればいいが、それは難しそう
    • とはいえ箇条書きメモだと、自分の中で血肉化しずらいとは感じるので無理に書評ブログをアウトプットに位置づけることは止めておく
  • しっかりと自分の行動まで落とし込めるくらいに思考できると吸収力は格段にあがるので試み自体は良いと言える

以上、川地の学び方を開示してみました。何を学ぶのか?どう学ぶのか?は、非常に好きな問いですが、もっと自分なりの型を模索し続けていきたいと思います。
最後に、経験を軸にした学習や学ぶという行為に関しての参考になる本をいくつか紹介して締めたいと思います。

「学ぶ」ということの意味 (子どもと教育)
佐伯 胖
岩波書店
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実践 アクションラーニング入門―問題解決と組織学習がリーダーを育てる
マイケル・J・マーコード
ダイヤモンド社
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「経験学習」入門
「経験学習」入門
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松尾 睦
ダイヤモンド社
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STANDARD デザイナー。最近よく読む書籍の分野は組織/チーム論、ファシリテーション、データ分析など。好きな漫画はダイヤのAと東京喰種。しばしば着ている服をいじられます。